乳がんが発覚し、全摘することが決まりました。
その際、乳腺外科のS先生から『再建』についての話がでました。
前回『(胸を)切って済むなら、すぐに手術して妊活に復帰したい」旨をブログに書きました。
ですが、いざ『乳房再建』の話題がでると正直興味がわきました。
思い立ったら即行動!の私は、さっそく先生に「再建に興味がある」と伝えました。
後日……改めて形成外科を訪ねることに。
【乳がん】乳房再建の相談に形成外科へ!けた外れのホスピタリティ!
形成外科のM先生(男性)は40代ぐらいのこざっぱりした感じの先生でした。
M先生は「こ、こんなに時間をかけて説明して、先生大丈夫!?」と不安になるぐらい各再建方法について丁寧に説明してくださいました。
- 医学に無知な私にもわかるように、言葉を選びながらん説明
- 患者さんの再建後の写真も紹介し、メリット・デメリットも紹介
- 術式についてもイラストでわかりやすく!
けた外れのホスピタリティー!!
(あえて説明にかけてくださった時間は書きませんが、医師を時給換算したら震えました)
【乳がん再建】自家組織再建のほかにインプラントも保険適用に!

『再建』
乳がんの再建手術について語るならば、2013年にシリコンインプラントを使った乳房再建が保険適用になったことについての話題は外せません。
それまでは自家組織使った再建しか保険適用にならなかったんです。
自家組織を使った乳房再建は、インプラントに比べより自然な乳房になるとされます。
半面、自家組織再建にはデメリットがあります。
【自家組織再建のデメリット】
- おなかや背中に大きな傷ができる
- 手術時間や入院期間が長くなる(2~3週間程度)
- 身体へのダメージが大きい
そんなに長期間休めない。
『再建』に興味はあっても、自家組織再建はハードルが高く様々な事情から断念することも多かったと思います。
が保険適用になって以降、再建手術は増加していった。 インプラント
- 2014年では年間の手術数は約4,000例だった
- 2017年には約6,500例に増加したのだ
インプラントは自家組織再建に比べ身体への負担が比較的少ない。
入院期間も短めで済み、社会復帰も早いとされる。
こういった情報も、少しずつ浸透していったように思います。
もし保険適用にならなかったら、選択肢に上がらなかったと思います。
【乳房再建の方法】自家組織再建とインプラントは何が違うの?
乳がんの再建は大きく2つ。
自家組織再建とインプラントをつかった再建です。
①自家組織再建について
まず、自家組織再建について。
これには主に二つの方法があります。
腹部のお肉を使う『深下腹壁動脈穿通枝皮弁法』
背中のお肉を使う『広背筋皮弁法』です。
2種類の自家組織再建の共通のメリット
- インプラントに比べ術後のメンテナンスが少ない
- より柔らかく、自然な乳房が再建できる
2種類の自家組織再建の共通のデメリット
- 腹部OR背中に傷ができる
- インプラントよりも入院期間・手術時間・術後の回復が長くなる
- 移植した皮弁が壊死することがある
【自家組織再建】『深下腹壁動脈穿通枝皮弁法』と『広背筋皮弁法』のメリット・デメリットとは?

深下腹壁動脈穿通枝皮弁法のよいところ
- 広背筋皮弁法よりもより大きな乳房が再建できる
深下腹壁動脈穿通枝皮弁法の欠点
- 腹部に傷ができる
- 突っ張りや違和感がでることがある
- 将来妊娠の可能性がある方は利用できない
- 広背筋皮弁法よりも入院期間・手術時間・術後の回復が長くなる

広背筋皮弁法のよいところ
- 深下腹壁動脈穿通枝皮弁法よりも入院期間・手術時間・術後の回復が短め
- 傷が背中なので、自身の目に入らず気になりにくい
広背筋皮弁法の欠点
- 背中に傷ができる
- 背中等の筋力のていかを感じる
- 再建した旨は筋肉が多いため、術後筋肉が痩せ再建した乳房は小さくなる
- 背中に浸出液が溜まりやすく、退院後1か月程度通院が必要
胸はD70(垂れてる)です。
M先生は私のバストサイズと身体の皮下脂肪の量を考慮しつつ、説明してくれました。
じゃあ「おなかのお肉を使うのがベスト!」かというと私の場合、そうではないんです……。
なぜなら「おなかの肉を使う」再建術はおなかにメスを入れるため、今後妊娠を検討している方には適さない。
この時点で「おなかのお肉を使った再建」の可能性は消える。
こんな感じで、その人の「体型」や「事情」「希望」が複雑に絡み合う。
つまり再建と一口に言っても何がベストかは、人それぞれの価値観によって選択が変わる。
『絶対的な正解』があるわけではないのが再建の悩ましいところ。
広背筋を使った再建術の完成後の写真を見せてもらいました。
そうなんです。
写真の方は乳首が残っている方だったが、正面からは「乳がんの手術で全摘した」ことが分からないほどの、見事な仕上がりでした。
私のように「乳首も切除した」方の広背筋再建術の方の写真も見せていただく。
こちらも美しい仕上がり。
乳首・乳輪がない場合の胸は「バービー人形の胸」のようなきれいなカーブを描いていました。
広背筋皮弁法で、気になる背中の傷については……
というのが正直な感想です。
このように傷の位置も、配慮をしてくださるとのことです。
すこしでも患者のQOLに配慮してくれる姿勢がありがたいなぁと思いました。
背中の切開跡の写真をみながら
と思いました。
私は今後ハリウッド女優のような背中を出したドレスを着る予定もない。
この時点で
と思い始めいました。
②インプラントについて

まさかの展開。
もちろん「インプラントを入れた人すべて」に発生する事象ではありません。
リコール対象は「バイオセル・テクスチャード・ブレスト・インプラント」ブランド名で販売する一連の製品。表面がざらざらしたタイプのゲル充填人工乳房で、豊胸やがんで切除した乳房の再建に使われる。
FDAによると、人工乳房が原因で悪性のリンパ腫(がん)を発症したと見られる患者が世界で573人確認され、そのうち481人がアラガン製品を使用していた。同局は、既にインプラント手術を受け、がん発症が確認されていない場合は摘出手術は推奨していない。
なんと!
2020年10月に保険適用になる、新たなインプラントがあるとのこと。
ただし、サイズ展開が少なめであるとのこと。
インプラントのメリット・デメリット
インプラントのメリット
- 乳房以外に傷をつけなくてOK
- 自家組織再建に比べて、入院期間・手術時間・術後の回復が短め
インプラントのデメリット
- インプラントの位置がずれることがある
- 最低でも2回の手術が必要
- 5年~10年に一度、入れ替えが必要
- 自家組織再建に比べ、やや自然さに劣る
インプラントで再建された方のお写真を見せていただく。
こちらもきれいな仕上がり。
ただ、やはりリコールが少し気になりました。
あと、私が面倒だなと感じたのが、5年~10年でインプラントを入れ替えるというところ。
入れ替えるとするならば、5年~10年後の41歳~46歳ごろでまた手術が必要です。
もちろん次回入れ替えの時に、入れないという選択もできます。
私の場合、次回の交換は40代半ば。
不精な私としては、メンテが面倒に感じました。
ちなみに両胸を切除しインプラントで再建する場合。
完成後の大きさは自由。
患者さんによっては
という方もいらっしゃるそうです。
『インプラントのサイズ調整はそれこそ自由』なのだそうな。
(片胸が残っている場合は、そのサイズに合わせて再建するのが一般的です)
というか、夢がある。
乳がんになること自体はすごく嫌だし、辛いこと。
だけどそれをきっかけに「身体を希望通りに変える」という選択。
そんな選択があること自体、自分が乳がんにならなければ、分からないことでした。
M先生にたくさん質問をし、一旦持ち帰ることに。
M先生も乳腺外科のS先生同様「ご家族と相談して決めてくださいね」とおっしゃってくれた。
再建について、改めて「持ち帰り」としました。
再建の説明を聞いて印象に残った3つのこと

再建について形成外科の先生から詳しく聞いた中で、印象に残ったことが3つあります。
1つ目は「最適解は人によって違う」
例えば
「胸にインプラント(人工物)を身体にいれる」ことに抵抗がある人もいれば、
「自家組織再建のように、健康な背中やおなかを傷つけるのには抵抗がある」という方もいます。
仕事や家庭の事情で「長期間入院することが難しい」方もいれば「再建手術の入院は多少時間がかかっていいから、メンテナンスフリーがいい」という方もいます。
だからこそ、メリット・デメリットをしっかり把握して自分のライフスタイルや価値観に合わせて決めるのが大事だと思います。
2つ目は「時間をかけて決めてOK」
「乳がんになった!手術しなきゃ!」と平常心ではない状態で「再建について」無理に考えるのは大変です。
たしかに、摘出手術と同時に再建手術もできれば手術回数は減らせます。
でも再建手術後「こんなはずでは」と後悔すること。
それはなによりも辛いはず。
「摘出だけして、再建は後日考える」でも全然OKだと思います。
とにかく早まってはダメ。
平常心でいれないことも加味して、家族ともゆっくり相談をしたほうがいいです。
もし友人や親戚に「乳がんサバイバー」の方がいれば、その方に話を聞いてもいいと思います。
3つ目は「自分のしたいようにするのが一番」
「再建」に気が乗らない場合は、しないという選択もアリです。
「形成の先生が時間をかけて説明してくれたから」など気を遣う必要はありません。
身体と一番長く付き合うのは自分です。
最終的には自分のしたいようにする、のが一番後悔がないと思います。
乳がんの再建について自分なりに考えてみた
私は子宮頸がんで過去2回手術をしました。
基本的に先生が提案してくれる治療法(手術)を受けてきました。
ですが、乳がんの「再建」に関しては違います。
「再建してもいいし、しなくてもいい」
ザ・自由。
どれを選択するのかも、その人の価値観によるんです。
今まで、医師に言われるままにがん治療を受けてきた私にとって、この「選択制」は驚きでした。
乳房・乳輪・乳首の再建は、どこまでこだわるか、個人の価値観で決めるそうです。
自分に問いかけてみました。
私は
と思いました。
ですが『再建』に関しては、1人では決められません。
M先生もその様子を察してくれました。
このようにおっしゃってくれました。
形成外科のM先生との面談のあと、乳腺外科のS先生のもとへ。
再建はしたいけど、術式は決めかねていることなど心情を伝えました。
私の中でS先生の「手術後の胸を一番見るのは自分」という言葉がずん、と響きました。
毎日着替えのたびに、お風呂のたびに目にする胸。
自分にとって、一番いい方法ってなんだろう。
